要約
第14次労働災害防止計画とは、労働安全衛生法第6条に基づき厚生労働大臣が策定する労働災害防止計画の14回目で、2023年度(令和5年度)から2027年度(令和9年度)までの5年間を対象とする中長期計画です。重点業種・重点課題ごとに具体的な数値目標を設定しています。
定義
「厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(以下「労働災害防止計画」という。)を策定しなければならない。」
— 出典: 労働安全衛生法 第6条
背景・要点
労働災害防止計画は1958年の第1次計画以来、5年ごとに策定されてきました。第14次計画は2023年3月に策定され、2023〜2027年度の5年間を対象としています。
第14次計画の基本方針:
「一人の被災者も出さないという基本理念の下、誰もが安全で健康に働くことができる職場環境を実現する」ことを掲げ、特に労働者の協力を得て、事業者が取組を進めるべき事項を中心に構成されています。
重点取組事項(8項目):
- 自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発
- 労働者(中高年齢の女性を中心)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進
- 高年齢労働者の労働災害防止対策の推進
- 多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策の推進
- 業種別の労働災害防止対策の推進:陸上貨物運送事業、建設業、製造業、林業
- 労働者の健康確保対策の推進:メンタルヘルス、過重労働、産業保健、化学物質、石綿、騒音、熱中症等
- 化学物質等による健康障害防止対策の推進
- 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
主要数値目標:
- 死亡災害:2027年までに2022年比5%以上減少
- 死傷災害:2027年までに2022年比減少(高齢化を考慮し、増加率を抑制)
- 転倒災害:年齢調整後の死傷年千人率を2027年までに2022年比減少
- 熱中症死亡者:2027年までに過去5年間の平均と比較して減少
- 高年齢労働者死傷年千人率:減少
- メンタルヘルス対策実施事業場:80%以上 等
第14次計画は、第13次計画(2018-2022年度)と異なり、死傷災害の絶対数の減少ではなく相対的指標(年千人率等)の改善を重視しているのが特徴です。これは第13次期間中に死傷者数が増加傾向にあった現実を踏まえた現実的な目標設定です。
実務でのポイント
- 重点取組事項の確認:自社の業種・課題が第14次計画の重点項目に含まれているか確認します。
- 数値目標を社内目標に反映:政府目標を参考に自社独自の数値目標を設定します。
- 業種別計画の参照:陸運・建設・製造・林業の重点4業種では、業種別の細かい目標が設定されています。
- エイジフレンドリー対策:高齢労働者対策はあらゆる業種で重点課題です。
- 化学物質自律的管理への対応:第14次期間中に化学物質規制が大きく変わるため、対応が必須です。
- 転倒・腰痛対策:第三次産業中心に転倒・腰痛が多発しているため、作業行動に起因する災害対策を強化します。
- 個人事業者対応:2026年以降の個人事業者向け規制拡大を見据えた取組みを進めます。
参考文献
- 厚生労働省「第14次労働災害防止計画」
- 労働安全衛生法 第6条
- 厚生労働省「労働災害発生状況」(年次)