要約
振動障害とは、チェーンソー、グラインダー、ピックハンマー等の振動工具を長期間使用することによって生じる、末梢循環障害(レイノー現象=白ろう病)・末梢神経障害・運動器障害を主症状とする職業性疾病です。
定義
「振動障害は、振動工具の使用により手腕に生じる末梢循環障害、末梢神経障害および筋骨格系障害の総称をいう。」
— 出典: 厚生労働省「チェーンソー取扱い作業指針」「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」
背景・要点
代表的な症状である「白ろう病(Raynaud現象)」は、寒冷時に手指の血管が発作的に収縮し蒼白化する現象で、進行すると指のしびれ、握力低下、関節障害などに発展します。原因となるのは林業のチェーンソー作業をはじめ、建設業・製造業のグラインダー、削岩機、ピックハンマー、エンジンカッター、インパクトレンチ等の振動工具作業です。
厚生労働省は1975年に「チェーンソー取扱い作業指針」を、2009年に「チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針」を策定し、振動ばく露時間(日振動ばく露量A(8))の管理、作業時間の制限、保温対策、健康診断の実施を求めています。日振動ばく露量A(8)の評価には ISO 5349 に基づく測定方法が用いられます。
実務でのポイント
- 振動工具の選定と更新:振動加速度が低い工具の選定、低振動化された新型工具への更新を進めます。
- 日振動ばく露量A(8)の管理:ISO 5349 に基づき測定し、ばく露対策値・限界値を超えないよう作業時間を管理します。
- 作業時間の制限と休止時間の確保:振動工具を連続使用する時間と1日当たり総時間を制限し、休止時間を確保します。
- 保温・防振手袋:寒冷下での作業を避け、防振手袋の使用と手指の保温に努めます。
- 特殊健康診断の実施:振動工具取扱い業務従事者には、配置時および年2回の特殊健康診断(業務歴・自覚症状・他覚所見・末梢循環機能・末梢神経機能等)を実施します。
参考文献
- 厚生労働省「振動障害予防対策」
- 厚生労働省「振動工具取扱い作業者に対する特殊健康診断について」
- ISO 5349 "Mechanical vibration — Measurement and evaluation of human exposure to hand-transmitted vibration"