要約
衛生推進者とは、労働安全衛生法第12条の2に基づき、安全管理者の選任を要しない業種(金融・保険・不動産・学術研究・教育・医療福祉等)で常時労働者数10〜49人の小規模事業場に選任が義務付けられた衛生業務担当者です。
定義
「事業者は、第11条第1項の事業場及び前条第1項の事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のものごとに、衛生に係る業務を担当する衛生推進者を選任しなければならない。」
— 出典: 労働安全衛生法 第12条の2
背景・要点
衛生推進者は、安全管理者の選任義務がない業種(事務・サービス業等の「第三次産業中心」の業種)で、衛生業務のみを担当する管理担当者です。同じ規模の安全管理者選任業種(製造・建設・運送等)では「安全衛生推進者」が選任され、両者は担当業務範囲が異なります。
選任義務の区分:
| 区分 | 業種 | 担当業務 |
|---|---|---|
| 安全衛生推進者 | 安全管理者選任業種(製造・建設・運送・電気ガス水道等) | 安全+衛生 |
| 衛生推進者 | 上記以外(金融・保険・教育・医療福祉等) | 衛生のみ |
両者とも常時労働者10〜49人の小規模事業場が対象です。
衛生推進者の主な担当業務(労働安全衛生法第10条第1項のうち衛生関連):
- 健康障害を防止するための措置
- 衛生のための教育の実施
- 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置
- 労働災害の原因の調査および再発防止対策(衛生関連)
- その他衛生に必要な業務
選任要件:
- 都道府県労働局長の登録を受けた衛生推進者養成講習修了者
- 大学卒業+衛生実務経験1年以上
- 高校卒業+衛生実務経験3年以上
- 5年以上の衛生実務経験者 等
近年、第三次産業(サービス業)の労働災害は転倒・腰痛・メンタルヘルス等が多発しており、衛生推進者の重要性が高まっています。
実務でのポイント
- 業種・規模の確認:自社が衛生推進者選任対象か、安全衛生推進者対象かを確認します。
- 養成講習の受講:未経験者は約1日間の衛生推進者養成講習を受講させます。
- 氏名の周知:選任した推進者の氏名を見やすい場所に掲示します。
- 健診・面接指導の管理:健診事後措置、長時間労働者面接指導、ストレスチェック関連業務を担当します。
- メンタルヘルス対策:第三次産業ではメンタル不調が多いため、4つのケアの中核として活動します。
- 小規模事業場資源の活用:産業保健総合支援センター、地域産業保健センターを活用します。
- 代理者の指定:不在時の代理者をあらかじめ指定します。
参考文献
- 労働安全衛生法 第12条の2
- 厚生労働省「安全衛生管理体制について」
- 中央労働災害防止協会「衛生推進者養成講習」