要約

労働衛生コンサルタントとは、労働安全衛生法第81条に基づく国家資格者で、事業場の衛生について診断し、これに基づく指導を行う専門家です。化学物質自律的管理体制では、保護具着用管理責任者の優先選任要件としても位置付けられています。

定義

「労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。」

— 出典: 労働安全衛生法 第81条第2項

背景・要点

労働衛生コンサルタントは1972年の労働安全衛生法制定とともに導入された国家資格で、労働安全コンサルタントと並んで事業場の衛生水準向上を専門的に支援する役割を担います。

試験区分:

  • 保健衛生
  • 労働衛生工学

受験資格:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、技術士、理工系大学卒業+実務5年以上、衛生管理者免許+一定の実務経験 等。試験は筆記(一般・専門)と口述で構成されます。

主な業務範囲:

  1. 作業環境の診断:化学物質、騒音、振動、暑熱、粉じん、放射線等の評価
  2. 健康管理体制の診断:健診、面接指導、メンタルヘルス対策
  3. 作業環境測定結果の解釈と改善指導
  4. 化学物質管理の支援:リスクアセスメント、SDS、自律的管理
  5. メンタルヘルス対策の企画支援
  6. エルゴノミクス改善(人間工学的指導)
  7. 特定機械・設備の検査(一部)
  8. OSHMS構築・運用支援

化学物質自律的管理での重要性:

2024年4月施行の改正労働安全衛生規則により、第三管理区分作業場での保護具着用管理責任者の選任要件として、労働衛生コンサルタント(労働衛生工学区分)が優先選任される有資格者の一つとして位置付けられました。化学物質管理専門家・作業環境管理専門家とともに、化学物質自律的管理体制で重要な役割を担っています。

産業医とは区分された資格で、産業医は医学的専門性に基づく労働者個人への対応を主とするのに対し、労働衛生コンサルタントは事業場全体の衛生管理体制への診断・指導を主とします。両者は相補的に活用されます。

実務でのポイント

  1. 第三者診断の活用:自社内に労働衛生の専門家がいない場合、外部診断を活用します。
  2. 化学物質自律的管理:保護具着用管理責任者の選任、リスクアセスメントの実施支援に活用できます。
  3. メンタルヘルス対策の企画:保健衛生区分のコンサルタントは産業医・保健師と連携してメンタル対策を企画支援します。
  4. 作業環境測定結果の活用:測定後の改善指導をコンサルタントに依頼します。
  5. 小規模事業場での活用:産業保健総合支援センターと併用して、無料・有料の両資源を組み合わせます。
  6. 継続契約:単発相談だけでなく、年間契約での継続フォローも検討します。

参考文献

  1. 労働安全衛生法 第81条〜第88条
  2. 一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会
  3. 厚生労働省「労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントについて

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