要約
騒音性難聴とは、長期間の騒音ばく露により内耳(蝸牛)の有毛細胞が障害されて生じる感音性難聴で、不可逆的な職業性疾病です。厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」(2023年改訂)に基づき、事業者は騒音作業の特定・測定・健診・保護具着用などの対策を講じる必要があります。
定義
「騒音性難聴は、長期間にわたる騒音へのばく露によって生じる感音性難聴であり、内耳の有毛細胞の障害に起因する不可逆的な聴力障害をいう。」
— 出典: 厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」
背景・要点
騒音性難聴は典型的にはまず4,000Hz付近の聴力低下(C5ディップ)として現れ、進行すると会話音域にも及びます。本人は気づきにくく、健診で初めて発見されるケースも多いことから、定期的な聴力検査と早期発見が重要です。
2023年4月に改訂された「騒音障害防止のためのガイドライン」では、対象作業場の見直し、等価騒音レベル(LAeq,8h)に基づくリスク管理、個人ばく露測定の活用、保護具の選定基準(NRR等)などが大幅に強化されました。85dB以上のばく露でリスク管理の対象となり、90dB以上では保護具着用の義務化や定期健診の実施が必要です。
実務でのポイント
- 騒音作業の特定と測定:等価騒音レベル測定により、第I管理区分(85dB未満)・第II管理区分(85〜90dB未満)・第III管理区分(90dB以上)に区分し、区分に応じた対策を実施します。
- 発生源対策の優先:騒音源の低騒音化・遮音・吸音・防振等の工学的対策を優先し、保護具に頼らない管理を目指します。
- 聴覚保護具の選定:耳栓・イヤーマフをNRR(遮音値)と作業性を考慮して選定し、フィット教育を実施します。
- 騒音健診の実施:新規配置時および年1回の定期で聴力検査(1,000Hz・4,000Hz)を実施し、有所見者には精密検査と就業上の措置を行います。
- 教育と周知:労働者に騒音性難聴の不可逆性、自覚症状の乏しさ、保護具着用の重要性を教育します。
参考文献
- 厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン(2023年改訂)」
- 日本産業衛生学会「許容濃度等の勧告(騒音)」
- 中央労働災害防止協会「騒音障害防止のためのガイドライン解説」