要約

じん肺とは、粉じんを吸入することにより肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病で、じん肺法に基づき粉じん作業従事者には特別の健康診断(じん肺健診)と健康管理区分による就業上の措置が定められています。

定義

「この法律において『じん肺』とは、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。」

— 出典: じん肺法 第2条

背景・要点

じん肺は粉じん作業に長期間従事することで発症する代表的な職業性疾病で、進行性かつ不可逆的であり、現在の医学では治癒させる治療法は確立されていません。原因となる粉じんには、遊離けい酸(けい肺)、石綿(石綿肺)、石炭、金属、滑石等があります。

じん肺法はじん肺健康診断(就業時、定期、定期外、離職時)を事業者に義務付け、エックス線写真と肺機能検査の結果から健康管理区分(管理1〜管理4)を決定します。管理2以上では作業転換・健康管理手帳交付など就業上の措置が、管理4または合併症ありでは療養が必要となります。離職後も健康管理手帳制度により国費でじん肺健診を継続できます。

近年は新規発症者数こそ減少傾向ですが、過去のばく露による高齢発症や、トンネル工事・金属溶接・研磨・解体現場などでの新規ばく露リスクが残っており、粉じん障害防止規則に基づく予防対策が引き続き重要です。

実務でのポイント

  1. 粉じん作業の特定とリスクアセスメント:粉じん障害防止規則別表で定める粉じん作業に該当するかを確認し、発生源対策(密閉化・湿式化・局所排気)を講じます。
  2. じん肺健診の実施:常時粉じん作業に従事する労働者には、就業時健診と一定間隔での定期健診を実施し、結果を都道府県労働局長に提出します。
  3. 健康管理区分に応じた措置:管理2以上では作業転換、管理4・合併症ありでは療養を実施します。管理2・3の労働者には健康管理手帳が交付されます。
  4. 呼吸用保護具の選定と着用管理:JIS T 8159適合の防じんマスク、必要に応じて電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)を選定し、フィットテストを実施します。
  5. 作業環境測定:粉じん濃度を定期的に測定し、管理区分に応じた改善を行います。

参考文献

  1. じん肺法
  2. 粉じん障害防止規則
  3. 厚生労働省「じん肺対策

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