要約
じん肺法(昭和35年法律第30号)とは、粉じん作業に従事する労働者のじん肺の予防と健康管理を目的として、じん肺健康診断、健康管理区分、就業上の措置、健康管理手帳制度等を定めた法律です。労働安全衛生法とは別に独立した法律として制定されています。
定義
「この法律は、じん肺に関し、適正な予防及び健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持その他福祉の増進に寄与することを目的とする。」
— 出典: じん肺法 第1条
背景・要点
じん肺は、粉じんを吸入することにより肺に生じた線維増殖性変化を主体とする職業性疾病で、長期間にわたるばく露と長い潜伏期間が特徴です。鉱山業・金属鉱山業・建設業(トンネル・解体)・製造業(鋳造・研磨・溶接)・陶磁器製造業など、粉じん作業を伴う多くの業種で発生してきました。
じん肺法の主要内容:
- じん肺健康診断:就業時、定期、定期外、離職時の4種類
- 健康管理区分:エックス線写真・肺機能検査の結果から管理1〜管理4を決定
- 管理1:じん肺所見なし
- 管理2:エックス線写真の像が第1型
- 管理3イ・管理3ロ:エックス線写真の像が第2型・第3型
- 管理4:エックス線写真の像が第4型 等
- 就業上の措置:管理2以上では作業転換、管理3では転換努力、管理4では療養
- 健康管理手帳:管理2以上の労働者・離職者には健康管理手帳が交付され、離職後も国費でじん肺健診を継続できる
- 記録の保存:じん肺健診結果は7年間保存
じん肺は不可逆性で治療法が確立されていないため、発生源対策(粉じん障害防止規則)と健康管理(じん肺法)を併用した予防が極めて重要です。新規発症は減少傾向にあるものの、過去のばく露による高齢発症や、トンネル工事・解体作業等での新規発症は継続しています。
実務でのポイント
- 粉じん作業の特定:粉じん障害防止規則別表で定める粉じん作業に該当するかを確認。
- じん肺健診の確実な実施:常時粉じん作業従事労働者には、就業時・定期(管理区分により1〜3年)・離職時健診を実施。
- 健康管理区分の判定:地方じん肺診査医の判定に基づき、管理区分を決定。
- 就業上の措置:管理3以上では作業転換を進め、管理4では療養させます。
- 健康管理手帳の交付:管理2以上の労働者・離職者には手帳交付を支援します。
- 記録の保存:じん肺健診結果は7年間保存(労働安全衛生規則の保存期間とあわせる)。
- 粉じん則との一体運用:じん肺法(健康管理)と粉じん障害防止規則(発生源対策)を一体で運用します。
参考文献
- じん肺法(昭和35年法律第30号)
- 粉じん障害防止規則
- 厚生労働省「じん肺対策」