要約

特別教育とは、労働安全衛生法第59条第3項に基づき、政令で定める危険または有害な業務に労働者を就かせるときに、事業者が実施しなければならない安全衛生教育です。労働安全衛生規則第36条に約60の対象業務が列挙されており、業務の種類ごとに学科・実技の科目と時間が定められています。

定義

「事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。」

— 出典: 労働安全衛生法 第59条第3項

背景・要点

特別教育は、雇入れ時教育(全労働者対象)よりも対象を絞り、特定の危険有害業務に従事する労働者への業務固有の安全教育を行うものです。対象業務は労働安全衛生規則第36条で列挙されており、代表例:

  • アーク溶接業務
  • 研削といしの取替・試運転業務
  • 動力プレスの金型取付・取外・調整業務
  • フォークリフト運転業務(最大荷重1トン未満)
  • 小型移動式クレーン運転業務(吊上荷重1トン未満)
  • 玉掛け業務(吊上荷重1トン未満)
  • 酸素欠乏危険作業
  • 石綿障害予防規則関連業務
  • チェーンソーによる立木伐木等業務
  • フルハーネス型墜落制止用器具を使用して行う作業(2019年新設)
  • 足場の組立て等業務(足場作業主任者との別教育)
  • 粉じん作業
  • 電気取扱業務

実施は学科+実技で、業務ごとに必要な時間(おおむね4〜10時間程度)が定められています。事業者自ら実施することも、外部講習機関に委託することもできます。

修了後は受講記録(受講者氏名・実施日・内容・時間・講師等)を3年間保存します。なお、技能講習・免許が必要な業務は特別教育の対象外で、より高度な資格が必要です。

実務でのポイント

  1. 対象業務の特定:労働安全衛生規則第36条と自社の業務を照合し、特別教育対象を洗い出します。
  2. 配置前の実施:業務に従事する前に実施します。先に作業させてはなりません。
  3. 学科+実技:業務ごとに定められた科目・時間を確実に実施します。
  4. 記録の保存:受講記録を3年間保存します。氏名・実施日・科目・時間・講師を記載。
  5. 外部機関の活用:自社で実施が難しい業務は、登録教習機関や中央労働災害防止協会等の外部講習を活用します。
  6. 再教育:能力向上のため、定期的な再教育を実施することが推奨されます。
  7. 派遣労働者:派遣先事業者にも特別教育の実施義務があります(派遣元と連携)。

参考文献

  1. 労働安全衛生法 第59条第3項
  2. 労働安全衛生規則 第36条
  3. 厚生労働省「特別教育について

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