要約
墜落・転落災害とは、労働者が高所から下方へ落下することにより負傷・死亡する労働災害です。建設業を中心に死亡災害の最大要因であり、厚生労働省「労働災害発生状況」では毎年の死亡災害の3割前後を占めます。
定義
「墜落・転落とは、人が樹木、足場、はしご、建築物、開口部、屋根、トラック、機械等から落ちることをいう。階段を踏み外して落ちる場合も含む。」
— 出典: 厚生労働省「労働災害発生状況の事故の型分類」
背景・要点
厚生労働省の労働災害統計では、墜落・転落は事故の型別で死亡災害の最大要因で、**死亡災害の約30%、休業4日以上の死傷災害の約20%**を占めています。発生業種は建設業が圧倒的に多いものの、製造業・運送業・農業・サービス業でも継続的に発生しています。
主な発生原因:
- 足場・はしご・脚立からの墜落
- 屋根・屋上・開口部からの墜落
- トラック荷台・荷台積み下ろし時の転落
- 階段の踏み外し
- 高所の保守・点検作業中の墜落
- 安全帯の未着用または不適切な使用
主要な防止対策:
- 本質安全対策:高所作業そのものをなくす(地上組立・機械化)
- 作業床・手すりの設置:作業床は幅40cm以上、手すりは85cm以上、中さん設置
- 開口部の囲い・覆い:床開口部は手すり・蓋
- 墜落制止用器具:2022年1月以降、6.75m超(建設業は5m超)はフルハーネス型が原則義務
- 特別教育:フルハーネス使用作業者には特別教育を実施
- 足場の組立等作業主任者の選任
- 作業前点検:足場・脚立・はしご・命綱の毎日点検
近年は、エイジフレンドリーガイドライン(2020年)に基づき、高年齢労働者の転倒・墜落リスク低減対策が強化されています。
実務でのポイント
- 高所作業の特定:自社の高所作業(2m以上)を洗い出し、リスクアセスメントを実施します。
- 作業床・手すりの優先:墜落制止用器具よりも先に、本質安全な作業環境(作業床・手すり)を整備します。
- フルハーネス義務範囲の確認:6.75m超(建設業は5m超)はフルハーネス義務、それ以下では胴ベルト型可。
- 特別教育の実施:フルハーネス特別教育(学科4.5時間+実技1.5時間)を受講させます。
- 作業主任者の選任:足場の組立て等作業主任者・型枠支保工組立等作業主任者などを選任します。
- 日常点検:足場・脚立・はしご・墜落制止用器具を毎日始業前に点検します。
- 高齢労働者への配慮:高所作業のアサインを慎重に行い、必要に応じて代替手段を検討します。
参考文献
- 厚生労働省「労働災害発生状況」(年次)
- 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」
- 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」