要約

転倒災害とは、労働者が平地・段差・階段などで滑る・つまずく・踏み外す等により転倒し負傷する労働災害です。休業4日以上の労働災害の事故の型別で第1位で、特に第三次産業(小売、医療福祉、飲食、運輸等)で多発し、高年齢労働者の被災率が高いことが特徴です。

定義

「転倒とは、人がほぼ同一平面上でつまずき又は滑り倒れた場合をいう。階段の最上段からの転落も含む。」

— 出典: 厚生労働省「労働災害発生状況の事故の型分類」

背景・要点

転倒災害は、墜落・転落と並んで死傷者数が多い労働災害ですが、近年の傾向として:

  • 休業4日以上の死傷災害で事故の型別1位(約25%)
  • 第三次産業(小売・医療福祉・社会福祉施設)で多発
  • 60歳以上の高年齢労働者の被災率が高い:60歳以上の女性労働者の転倒被災率は20歳代の約16倍
  • 冬季と夏季にピーク:冬は凍結、夏は雨・汗・床清掃等
  • 重症化しやすい:骨折を伴う事故が多く、高齢者は特に重症化リスク

厚生労働省は2015年から「STOP!転倒災害プロジェクト」を展開し、業種・年齢を問わない包括的な転倒予防対策を呼びかけています。また、2020年策定の「エイジフレンドリーガイドライン」でも転倒対策が中心テーマの一つとなっています。

主な発生原因:

  • 床の水濡れ・油・段差・障害物
  • 階段・通路の照明不足
  • 不適切な靴
  • 急ぎ・ながら作業
  • 加齢による身体機能低下(バランス能力・筋力)

実務でのポイント

  1. 4S(整理・整頓・清掃・清潔):通路・作業場の障害物除去、油・水の即時清掃を徹底します。
  2. 床の改善:滑りにくい床材、ノンスリップマット、段差の解消・色分け表示。
  3. 照明の確保:階段・通路・出入口の照度(150ルクス以上が目安)を確保します。
  4. 靴の指定:滑りにくい安全靴・作業靴を支給・指定します。
  5. 手すり・標識:階段・段差・スロープに手すりや注意喚起標識を設置。
  6. ルール化:「ポケットに手を入れない」「走らない」「ながら歩きしない」等の安全行動。
  7. エクササイズ:高年齢労働者向けに転倒予防体操(バランス・筋力トレーニング)を導入。
  8. 健康診断・体力測定:エイジフレンドリーガイドラインに基づき、配置時・定期に体力を測定。
  9. ヒヤリハット情報の収集:軽微な転倒・つまずき情報を集約し、対策に反映します。

参考文献

  1. 厚生労働省「STOP!転倒災害プロジェクト
  2. 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)
  3. 厚生労働省「労働災害発生状況」(年次)

関連記事

関連用語