要約

鉛中毒予防規則(通称「鉛則」)とは、労働安全衛生法に基づき、鉛による中毒その他の健康障害を予防することを目的とした厚生労働省令で、鉛業務(鉛・鉛合金・鉛化合物等の取扱い)の発生源対策・作業環境測定・特殊健康診断・記録保存などを義務付けています。

定義

「鉛中毒予防規則は、労働安全衛生法第22条等の規定に基づき、鉛、鉛合金又は鉛化合物等の取扱いに伴う鉛中毒の予防について事業者が講ずべき措置を定めるものである。」

— 出典: 鉛中毒予防規則

背景・要点

鉛は神経系・血液系・腎臓・生殖系に影響を与える有害金属で、慢性ばく露により貧血・末梢神経障害・腎障害等の鉛中毒を引き起こします。鉛則は鉛業務を別表で具体的に定めており、鉛精錬・鉛蓄電池製造・はんだ付け・鉛塗料・鉛入りガラス・はんだ付け・鋳造・鉛入りクリスタルガラス製造などの業務が含まれます。

主な措置義務:

  1. 発生源対策:密閉設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、湿式作業
  2. 作業環境測定:6か月以内ごとに1回、結果を3年間保存
  3. 特殊健康診断:6か月以内ごとに1回(一部1年以内)、血中鉛・尿中δ-ALA等の生物学的モニタリングを含む。結果を5年間保存
  4. 作業主任者の選任:鉛作業主任者
  5. 保護具の備え付け:呼吸用保護具、保護衣等
  6. 食事場所・うがい場所の設置:手洗い・うがい・更衣・入浴設備の整備

近年は鉛フリー化が進んでおり、欧州RoHS指令の影響で電子部品の鉛フリー化が進む一方、鉛蓄電池・古い建造物の鉛塗料等では依然として労働者ばく露のリスクがあります。

実務でのポイント

  1. 対象作業の特定:自社の作業が鉛則別表の鉛業務に該当するか確認します。
  2. 発生源対策の優先:密閉化・局所排気装置・湿式作業を優先導入します。
  3. 作業環境測定と健診:6か月ごとの測定と血中鉛・尿中δ-ALA等の特殊健診を実施します。
  4. 食事・喫煙の分離:作業場内での飲食喫煙を禁止し、専用の休憩場所と手洗い・うがい・更衣・入浴設備を整備します。
  5. 保護具着用と教育:呼吸用保護具・保護衣の着用と、鉛中毒の症状・予防に関する教育を実施します。
  6. 女性労働者・年少者の配慮:女性労働基準規則・年少者労働基準規則による就業制限を確認します。

参考文献

  1. 鉛中毒予防規則
  2. 厚生労働省「鉛中毒予防規則について
  3. 中央労働災害防止協会「鉛作業主任者テキスト」

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