要約
OSHMS(Occupational Safety and Health Management System:労働安全衛生マネジメントシステム)とは、事業場における安全衛生管理を方針・計画・実施・評価・改善(PDCA) のサイクルで継続的に行う仕組みです。日本では2006年に厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」が制定されました。
定義
「労働安全衛生マネジメントシステムとは、事業者が労働者の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動を促進することにより、労働災害の防止を図るとともに、労働者の健康の増進及び快適な職場環境の形成の促進を図り、もって事業場における安全衛生の水準の向上に資することを目的としたシステムをいう。」
背景・要点
労働安全衛生は伝統的に「事故が起きてから対策する」反応型でしたが、OSHMSはこれを 事前にリスクを予測して低減する自律的・予防型 へ転換する仕組みです。
主な構成要素:
- 安全衛生方針の表明:事業者によるトップダウンの方針表明
- 安全衛生目標の設定:定量的・達成可能な目標
- 安全衛生計画の作成・実施:年次・月次の活動計画
- リスクアセスメント:危険源の特定・評価・低減対策
- 教育・訓練:労働者・管理監督者への教育
- 手順書・マニュアルの整備
- 日常点検・改善
- 緊急事態への対応
- 記録・文書管理
- システムの監査と見直し:内部監査と経営層レビュー
国際標準としてはISO 45001(2018年発行)が広く普及しており、日本ではこれをベースとしたJIS Q 45100(2018年)も制定されています。
OSHMS導入事業場は「危険有害性の特定・リスク低減」「労働災害防止」「生産性向上」「企業ブランド向上」等の効果が期待でき、認定制度(中央労働災害防止協会のOSHMS外部認証)も用意されています。
実務でのポイント
- トップマネジメントのコミットメント:経営層が安全衛生方針を明示し、リソースを配分します。
- PDCAの回し方を明確化:月次・年次の見直し会議で計画と実績を比較し、次期計画に反映します。
- リスクアセスメントの中核化:新規導入時・変更時・定期に危険源評価を実施します。
- 労働者の参画:現場の声を吸い上げる仕組み(提案制度・KY活動・ヒヤリハット報告)と統合します。
- ISO 45001/JIS Q 45100との連携:認証取得を目指す場合は早期にギャップ分析を行います。
- 記録の文書化:監査・認証・労基署対応を見据えた文書管理を行います。
参考文献
- 厚生労働省「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」(平成11年労働省告示第53号)
- ISO 45001:2018 "Occupational health and safety management systems"
- JIS Q 45100:2018「労働安全衛生マネジメントシステム — 要求事項及び労働安全衛生活動を含めたその使用の指針」