要約

有機溶剤中毒予防規則(通称「有機則」)とは、労働安全衛生法に基づき、有機溶剤による中毒その他の健康障害を予防することを目的とした厚生労働省令で、有機溶剤等の取扱いに係る発生源対策・作業環境測定・特殊健康診断・記録保存などを義務付けています。

定義

「有機溶剤中毒予防規則は、労働安全衛生法第22条等の規定に基づき、有機溶剤等の蒸気又はミストに労働者がばく露することによる健康障害の予防について事業者が講ずべき措置を定めるものである。」

— 出典: 有機溶剤中毒予防規則

背景・要点

有機則の対象物質は別表第6の2に掲げる54種類の有機溶剤で、毒性の強さに応じて第1種(強毒性、5物質)、第2種(中毒性、35物質)、第3種(弱毒性、14物質)に分類されます。

主な措置義務:

  1. 発生源対策:第1種・第2種有機溶剤等を取り扱う屋内作業場等では、密閉設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置の設置が原則
  2. 作業環境測定:第1種・第2種有機溶剤等は6か月以内ごとに1回測定し、結果を3年間保存
  3. 特殊健康診断:6か月以内ごとに1回実施し、結果を5年間保存
  4. 作業主任者の選任:有機溶剤作業主任者
  5. 掲示:取扱注意事項・色別表示(第1種=赤、第2種=黄、第3種=青)
  6. 送気マスクや有機ガス用防毒マスクの備え付け

塗装、印刷、洗浄、接着、化学合成、印刷、ドライクリーニング、研究開発など、有機溶剤を使用する幅広い業種が対象となります。

実務でのポイント

  1. 対象物質の特定と区分の確認:取り扱う物質が有機則の第1〜3種のどれに該当するか、別表で確認します。
  2. 発生源対策の優先:密閉化・局所排気装置・プッシュプル型換気装置を優先設置し、保護具に頼らない管理を目指します。
  3. 作業環境測定の継続:6か月ごとの測定と評価、第三管理区分時の改善措置を実施します。
  4. 特殊健康診断:尿中有機溶剤代謝物等の生物学的モニタリングを含む健診を実施します。
  5. 作業主任者の選任:有機溶剤作業主任者を選任し、指揮・点検を行わせます。
  6. 自律的管理への対応:有機則対象物質も濃度基準値・化学物質管理者選任の対象となる場合があります。

参考文献

  1. 有機溶剤中毒予防規則
  2. 厚生労働省「有機溶剤中毒予防規則について
  3. 中央労働災害防止協会「有機溶剤作業主任者テキスト」

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