要約
8時間濃度基準値とは、化学物質の自律的管理体制下で、労働者の8時間時間加重平均(8h-TWA)ばく露濃度が超えてはならない値として、厚生労働大臣が物質ごとに定める基準値です。
定義
「8時間濃度基準値とは、労働者が8時間その物質にばく露したとしても、当該物質が人の健康に悪影響を及ぼさないとされる濃度をいう。」
背景・要点
化学物質の自律的管理(2024年4月本格運用)では、対象物質ごとに「濃度基準値」が設定され、事業者はばく露が基準値以下となるよう措置を講じる義務を負います。濃度基準値は次の2種類で構成されます:
- 8時間濃度基準値:1日8時間の作業全体にわたる時間加重平均ばく露濃度の上限
- 短時間濃度基準値:15分間の時間加重平均ばく露濃度の上限
8時間濃度基準値は、慢性影響を防ぐためのばく露限界値で、米国ACGIHのTLV-TWA、日本産業衛生学会の許容濃度(時間平均値)などの国際的なばく露限界値を参考に設定されます。
設定対象物質は段階的に拡大されており、第1次告示(2023年)以降、段階的に追加されています。
実務でのポイント
- 対象物質の確認:自社で取り扱う化学物質について、SDSや厚労省告示で8時間濃度基準値が設定されているか確認します。
- 個人ばく露測定の実施:労働者の呼吸域での8h-TWAばく露濃度を測定し、基準値と比較します。
- 基準値超過時の対応:工学的対策(局所排気装置等)→管理的対策→個人用保護具の優先順位で対策を講じます。
- 記録と保存:測定結果と対策内容を3年間(がん原性物質は30年間)保存します。
- 労働者への周知:基準値、測定結果、健康影響について労働者に周知します。
参考文献
- 厚生労働省「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針」
- 厚生労働省「化学物質の濃度基準値の設定」告示
- 日本産業衛生学会「許容濃度等の勧告」