要約

短時間濃度基準値とは、化学物質の自律的管理体制下で、労働者の15分間の時間加重平均(15分TWA)ばく露濃度が超えてはならない値として、厚生労働大臣が物質ごとに定める基準値です。急性影響・短時間刺激作用を防ぐためのばく露限界値です。

定義

「短時間濃度基準値とは、労働者が当該物質に15分間ばく露したとしても、急性の影響を生じないとされる濃度をいう。」

— 出典: 厚生労働省「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針」

背景・要点

8時間濃度基準値が慢性影響に着目した時間加重平均値であるのに対し、短時間濃度基準値は短時間の高濃度ばく露による急性影響(眼・呼吸器への刺激、頭痛、めまい等)を防ぐ目的で設定されます。米国ACGIHのSTEL(Short-Term Exposure Limit)に相当する概念です。

ルール:

  • 1作業日中、短時間濃度基準値を超えるばく露が4回を超えてはならない
  • ばく露と次のばく露の間隔は60分以上離す
  • 15分TWAで評価する

短時間濃度基準値は、すべての物質に設定されているわけではなく、急性影響が問題となる物質に対してのみ設定されます。塩素・アンモニア・ホルムアルデヒド・有機溶剤の一部などが該当します。

実務でのポイント

  1. 対象物質の確認:取り扱う物質に短時間濃度基準値が設定されているかSDS・告示で確認します。
  2. 15分間のサンプリング:個人ばく露測定で15分TWAの評価が必要です。連続式の直読式測定器も活用できます。
  3. ピーク時の作業特定:投入・抜き出し・保守点検等、短時間に高濃度発生が予想される作業を特定し、その時の濃度を評価します。
  4. 緊急的対策の優先:急性影響リスクがあるため、超過時は直ちに作業を中断し、換気・退避・保護具着用等の緊急措置を講じます。
  5. 8時間濃度基準値との両立:8時間濃度基準値と短時間濃度基準値の両方を満たす必要があります。

参考文献

  1. 厚生労働省「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針
  2. 厚生労働省「化学物質の濃度基準値の設定」告示
  3. ACGIH "TLVs and BEIs"(STEL定義参照)

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