要約
化学物質のラベル表示とは、化学物質の容器・包装にGHS準拠の名称・絵表示・注意喚起語・危険有害性情報・注意書きを表示する制度で、労働安全衛生法第57条によりラベル表示対象物の譲渡・提供事業者に義務付けられています。
定義
「労働者に健康障害を生ずるおそれのある物として政令で定めるものを容器に入れ、または包装して、譲渡し、または提供する者は、その容器または包装に、当該物の名称、人体に及ぼす作用、貯蔵または取扱い上の注意その他厚生労働省令で定める事項を表示しなければならない。」
— 出典: 労働安全衛生法 第57条
背景・要点
ラベル表示の対象は、以前は労働安全衛生法施行令別表第9で個別指定されていましたが、2024〜2026年にかけてリスクアセスメント対象物質の拡大と歩調を合わせて段階的に拡大されています(2026年には約2,900物質)。
ラベルに表示すべき項目(労働安全衛生規則第32条等):
- 名称:化学物質の名称
- 人体に及ぼす作用:健康有害性
- 貯蔵または取扱い上の注意
- GHSピクトグラム(絵表示)
- 注意喚起語:「危険」または「警告」
- 危険有害性情報(H-statement)
- 注意書き(P-statement)
- 表示者の氏名・住所・電話番号
業務上で容器に化学物質を移し替える場合(例:小分け容器、配管・タンク)にも、容器表示が必要です(労安衛則第33条の2)。
ラベル表示はSDSと一体で運用される情報伝達の仕組みで、化学物質の取扱者に危険有害性を直接的・即座に伝える機能を担います。
実務でのポイント
- 譲渡・提供時のラベル貼付:自社製品を出荷する際は対象物質か確認し、必要なラベルを貼付します。
- 取扱い容器への表示:作業現場で小分けする容器やタンクにも表示が必要です。試験管・ビーカー等の容器も対象。
- JIS Z 7253 準拠フォーマット:ラベルのレイアウト・サイズ・記載事項はJIS Z 7253に従います。
- 多言語対応:労働者が日本語を理解しない場合(外国人労働者等)は、母語での補助表示が望ましいとされます。
- 教育:ラベル表示の意味、ピクトグラムの読み方を労働者に教育します。
- 改訂時の更新:物質情報や事業者情報が変更された場合は速やかにラベルを更新します。
参考文献
- 労働安全衛生法 第57条
- JIS Z 7253:2019「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法 - ラベル, 作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」
- 厚生労働省「化学物質のラベル表示・SDS交付・リスクアセスメントについて」