要約

保護具着用管理責任者とは、2024年4月施行の改正労働安全衛生規則により、化学物質の自律的管理体制において第三管理区分の作業場所および濃度基準値超過のおそれがある作業場所で、呼吸用保護具・化学防護服等の保護具の選定・使用・保守管理を行うために事業者が選任する責任者です。

定義

「保護具着用管理責任者は、有効な保護具の選択、労働者の使用状況の管理その他保護具の管理に関する業務を担当する者として、事業者が選任しなければならない。」

— 出典: 労働安全衛生規則 第12条の6

背景・要点

化学物質の自律的管理体制への移行に伴い、保護具の不適切な選定・使用・管理による労働災害を防ぐため、2024年4月に保護具着用管理責任者の選任義務が新設されました。

選任義務が生じる作業場:

  • 作業環境測定の結果が第三管理区分と判定された作業場
  • 作業環境測定の結果、第三管理区分の措置を講じた後も改善が困難な作業場
  • 自律的管理対象物質を取り扱い、ばく露が濃度基準値を超えるおそれがある作業場

選任要件:保護具に関する知識・経験を有する者で、以下のいずれかに該当する者を「優先的に」選任することとされています:

  • 化学物質管理専門家
  • 作業環境管理専門家
  • 労働衛生コンサルタント(労働衛生工学)
  • 第一種衛生管理者(一定の経験あり)
  • 作業主任者(特化則・有機則等)
  • 保護具に関する6時間以上の講習修了者

職務内容:

  1. 保護具の選定:作業内容と有害物質に適した保護具を選定する
  2. 保護具の使用方法の指導:労働者への正しい使用方法の教育
  3. 保護具の保守管理:点検・交換・清掃・保管の管理
  4. フィットテストの実施:呼吸用保護具のフィットテスト実施・記録
  5. 使用状況の確認:作業中の着用状況を定期確認

実務でのポイント

  1. 対象作業場の特定:自社で第三管理区分や濃度基準値超過のおそれがある作業を洗い出します。
  2. 適格者の選任:上記要件に該当する者を選任し、職務を明確化します。社内に適任者がいない場合は外部委託や講習受講で対応します。
  3. 保護具着用管理プログラムの整備:選定基準、点検手順、交換時期、教育計画、記録様式を整備します。
  4. フィットテストの実施:呼吸用保護具は1年以内ごとにフィットテストを実施し、記録を3年間保存します。
  5. 化学物質管理者との連携:化学物質管理者(事業場全体の管理)と保護具着用管理責任者(現場の保護具運用)が連携します。
  6. 講習の活用:厚労省指定の6時間講習を受講することで選任要件を満たせます。

参考文献

  1. 労働安全衛生規則 第12条の6
  2. 厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制(2024年4月施行)
  3. 厚生労働省「保護具着用管理責任者教育講習カリキュラム」

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