要約

化学物質排出把握管理促進法(通称「化管法」「PRTR法」、平成11年法律第86号)とは、特定の化学物質について排出量・移動量を把握・届出し、環境への放出を抑制することを目的とした環境法です。PRTR制度とSDS制度の2本柱で構成されます。

定義

「この法律は、特定化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置並びに事業者による特定化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。」

— 出典: 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律 第1条

背景・要点

化管法は1999年に制定され、OECD勧告に基づくPRTR(Pollutant Release and Transfer Register)制度を日本に導入する法律です。所管は経済産業省・環境省で、労働安全衛生法(厚労省)が労働者保護を目的とするのに対し、化管法は環境保全を目的とする点で異なります。

法律の2本柱:

  1. PRTR制度(排出量等の届出制度)

    • 対象:第一種指定化学物質約500物質(2023年改正後)
    • 対象事業者:常時使用従業員21人以上+年間取扱量1トン以上等の要件を満たす事業者
    • 義務:年間の大気・水域・土壌への排出量、廃棄物としての移動量を把握し、毎年度国に届出
    • 国は届出データを集計・公表
  2. SDS制度(情報提供制度)

    • 対象:第一種・第二種指定化学物質
    • 義務:譲渡・提供時にSDSを交付し、ラベル表示を行う
    • GHS分類に基づくSDS作成(JIS Z 7253)

PRTR制度の届出データは国民が誰でも閲覧できるよう公表されており、企業の自主的な化学物質管理を促進する透明性の仕組みとなっています。

労働安全衛生法のSDS交付義務とは対象物質・対象事業者・目的が異なるものの、SDSフォーマット(JIS Z 7253)は共通で、両法のSDS義務を一体で運用するのが実務的です。

実務でのポイント

  1. 対象事業者の該当判定:従業員数・取扱物質・年間取扱量を確認し、PRTR届出義務の有無を判定します。
  2. 取扱量の把握:購入量・使用量・在庫量・廃棄量等を日常的に記録します。
  3. 排出量・移動量の算出:マスバランス法・排出係数法等で算出します。
  4. 毎年度の届出:4月〜6月頃に前年度実績を都道府県経由で国に届出します。
  5. SDSの交付:化管法対象物質を譲渡・提供する場合はSDSを交付します。
  6. 労働安全衛生法との一体運用:両法のSDS義務を統合した社内手順で運用します。
  7. 法改正の追跡:対象物質は5年ごと程度に見直されるため、最新リストを確認します。

参考文献

  1. 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
  2. 経済産業省「化管法(PRTR法)
  3. 環境省「化学物質排出移動量届出制度(PRTR制度)

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