要約

呼吸用保護具とは、作業環境中の有害な粉じん・蒸気・ガス・ミスト等の吸入を防ぐための保護具で、防じんマスク・防毒マスク・電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)・送気マスク・空気呼吸器等があります。2024年4月以降、第三管理区分等の作業場では年1回のフィットテストが義務化されました。

定義

「呼吸用保護具とは、作業場の空気中に存在する有害な粉じん、ヒューム、ミスト、蒸気、ガスなどから着用者を保護するための個人用保護具をいう。」

— 出典: JIS T 8150:2021「呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理方法」

背景・要点

呼吸用保護具は、有害物質を「ろ過」または「給気」する機能で、次のように分類されます:

ろ過式(環境空気を吸い込んで浄化):

  • 防じんマスク(DS/DL/RS/RL):粉じん・ミスト用
  • 防毒マスク:吸収缶により有機ガス・酸性ガス等を除去
  • 電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR):電動ファンで強制的に空気を送る
  • 使い捨て式マスク:軽作業向けの簡易型

給気式(清浄な空気を別途供給):

  • 送気マスク:エアラインを通じて清浄空気を供給
  • 空気呼吸器(SCBA):背負い式高圧空気ボンベから供給
  • 酸素呼吸器:酸素ボンベを背負う

選定の3原則:

  1. 作業環境の有害物質に適合:粉じん用と蒸気用は別物
  2. 必要な防護係数:作業環境濃度÷濃度基準値(または許容濃度)から必要な防護係数を算出し、それを上回る規格・形式を選択
  3. 作業負荷との両立:作業の動きやすさ、長時間着用の負担を考慮

2024年4月施行の改正労働安全衛生規則では、第三管理区分作業場で1年以内ごとに1回のフィットテストが義務化されました(密着型のみ。使い捨て式・PAPRは対象外)。フィットテスト結果は3年間保存します。

実務でのポイント

  1. 作業ごとの選定:作業内容と有害物質ごとに、適切な種類・規格を選定します。化学物質管理者・保護具着用管理責任者と連携。
  2. JIS規格適合品の使用:JIS T 8150・JIS T 8151等に適合した製品を選定します。
  3. フィットテストの実施:密着型呼吸用保護具は1年以内ごとに定量的または定性的フィットテストを実施し、3年間記録保存します。
  4. 吸収缶・フィルターの交換管理:使用時間・破過時間・湿度等を考慮し、交換時期を管理します。
  5. 着用方法の教育:正しい着用方法、シールチェック(漏れの確認)、清掃・保管方法を教育します。
  6. 発生源対策の優先:呼吸用保護具は最後の防衛線であり、まず発生源対策(密閉化・局所排気装置等)を優先します。
  7. 個別の体調・健康状態の配慮:呼吸器疾患のある労働者には医師の意見を踏まえて種類を選定します。

参考文献

  1. JIS T 8150:2021「呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理方法」
  2. 厚生労働省「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について
  3. 中央労働災害防止協会「呼吸用保護具マニュアル」

関連記事

関連用語